蕎麦好きの独り言(2015.01.27up)

その壱四、「山川万里」


MOUNTAIN  「ナンタケット・スレイランド」


中年の域を脱して初老に差し掛かると、めまぐるしく動く世間の荒波について行けなくなる。
ああ、何か遠いなぁ〜

20世紀に生を受け成長した人間にとって21世紀とは文明が高度に発達した夢多き未来だった。テレビ電話は当然として宇宙空間や他の惑星などへの移動も航空機に乗るような感覚で利用でき、もちろん地球外生命との交流も安定し、人々の視線は狭苦しい地球を離れ、銀河を飛び越えて全宇宙を俯瞰出来るような時代を想像していた。もちろん愚かな争いなどとうの昔に絶滅し、人類は一つの共同体として発展しているイメージだ。
しかし現実を見て見るとかなり違っていて、筆者自身ですら大好きな温泉に向かう途中で割り込まれた車に向かって大声で悪態をつく現実がある。
21世紀になっていったい何が変わったのだろうか。


1970年代に崇拝したMountainと言うロックバンドがあった。アルバム「NANTUCKET SLEIGHRIDE」の中にある一曲「暗黒への旅路」が今を遡ること43年前にヒットしたのだ。
我々悪童達は学校をフケて悪友宅の大音量で話し声も聞こえない部屋に日夜たむろし、有り余る時間を浪費していたのだ。
フェリックス・パッパラルディーが奥さんに撃たれ亡くなったのが1983年、巨漢レズリー・ウエストはどうしているんだろう…


闇の中を行く
何も見えない
闇の中を行く

物事を理解できない時はどうする?
君の女が他の男といたらどう思う?

闇の中を行く
何も見えない
闇の中を行く

どうしたらいつか理解できるだろうと思える?
他の人が何を考えているのかわかるかい?

闇の中を行く
何も見えない
闇の中を行く

Mountain Travelin' In The Dark より引用



閑話休題、
いつぞや予告しておいた物をついに買ってしまった。
あまりにも安かったので衝動買いに近い買い方だったが、楽しみがまた一つ増えた。
とは言っても五十肩が完治せず、友人宅の手伝いで右肘を酷使したら一晩痛みで眠れなかったのでたまらず近所の温泉へ湯治、暖めたら少しだけ楽になった気がする。果たしてこんな状態で蕎麦打ちなんて出来るのだろうか…

この日の蕎麦粉は三ノ俣産でわかおり、一袋500gだったが我が家では少し多い量だ。残すのも何なので全部使う。表示は500gだが実際計量したら534gあった。サービスのつもりか何か知らないがちょっとね…
新調したこね鉢は直径が尺八寸、まともに買えば1.5万から2万円くらいするがかなり安く仕入れることが出来た。
想像より実物はかなり大きく感じたが、大は小を兼ねるとよく言うように実用上は快適そのもの、今までの巨大ボールとは雲泥の差だ。


  
燦然と光り輝くこね鉢    と    本日の蕎麦粉


本当は十割にしようかと思ったが家族にはあまり評判がよろしくないので従前の配合でやる。写真は水回しが終わったところとヘソ出しをしているところ。いやあ実に仕事がしやすい。やっぱり専用の道具を揃えると仕上がりも違うような気がする。(こね鉢での重労働は優しい家人があらかたやってくれた。一応、病人なので(汗))


  
水回し終了     と     ヘソ出し


丸出しと角出しは鬼門の一つ、なかなかうまくいかない場合の方が多い。ちょっとした水加減の誤差がこの辺りから影響するが、今回はかなり良い感じで延ばせた。
本のしはネコ手でやるのが本当らしいが、オラの手では何故か出来ないのでお任せ…(笑)
後は畳んで切る。これがまた難しいんだなぁ…


  
丸出し     と     角出し


どこかで聞いた話だが、切ってから茹でるまで30分ほど寝かせた方が美味しくできるそうだ。でも我が家では時間がないのですぐに茹でる。ゆで時間は50秒程かな、もちっと短くても良いような気がする。


  
ネコ手の本のし      と      切り終えた状態


若かりし頃は大食漢で通ったオラも今は昔、もうホントに食えなくなった。山形の板蕎麦なんて簡単に一枚ペロリと平らげた。今は写真のざる蕎麦一枚でもう十分なのだ。
もちろん我が家では500gの粉で打った蕎麦は完食できずに翌日また食べる事になるのだが、やはり美味しさは落ちるのは仕方ないこと、何か良い方法はないのか考えてはいるのだがね…


  
どうですか?美味しそうでしょう(笑)


この辺で売っている蕎麦粉は1kg入りが多いが我が家ではとても一度には打てない。結果、日を置いてまた打つのだが、やはり風味の低下は否めない。それでもきっちり封をして減圧出来るタッパーで保存しているのだが、真空パックする設備もないしね。何か良い手はないだろうか…
師匠に聞いたらやっぱり食えない分は知り合いに配るらしい。もらった方は嬉しいだろうがドケチな性分には抵抗がある(笑)

無意識に昔日を思い起こすことが多くなった気がする。
久しく会っていない友や、彼らの何気ない仕草を不思議なほどリアルに思い起こす時がある。そこには深い谷が刻まれ、手を伸ばしても届かない不思議な時空が存在する。けれども意識の中ではすぐそこに行けるようにも感じるのだが現実ではない。
パラドックスが一つの時空ならばブラックホールのようなものなのだろう。
人々は知らぬ間にその暗黒へ引き込まれているのかも知れない。